ロウソクの熱でくるくる回る まるでメリーゴーランド ロータリーキャンドルホルダー

ロータリーキャンドルホルダー

イギリスの物理学者"マイケル・ファラデー"は、ロンドンの王立研究所の公開講義でこんなことを言っている。
「ロウソクは"美しい"」と。「ロウソクは、その機能がいくつもの普遍法則の上にエレガントかつ効率的に成り立っている」と、ロウソクの優れた点を講義している。

「炎の熱はロウを溶かすが、その一方で上昇気流を生み出し、縁(ふち)のほうのロウを冷ます。その結果として、融けたロウを溜めておくカップ状のものができる。そのカップの中でロウの表面は水平に保たれる。(以下略)」

このキャンドルホルダーに羽根をつけると、上昇気流が生まれ回転する。そこにいたる工程は、ロウソク(キャンドル)にとってさまざまな現象によって保たれている。

融けてカップ状になった「ロウ」は、底から伸びる芯へ"毛細管現象(ロウが芯の細かい繊維の中を移動する)"によって火のついている芯の先端まで引き上げられる。引き上げられた「ロウ」がさらに熱せられて高温の気体になり、空気中の酸素と混ざり合い炎となって燃え続ける。

毛細管現象

ここまではロウソク側から見た一面である。
それでは次に、ロウソクが作り出す「熱」を考えてみよう。
日常でわかりやすいのが、お湯を沸かすときである。

温められた水は上に集まり、冷たい水は下に沈んでいるということを経験したことはないだろうか。例えば、お風呂のお湯を沸かすとき、上の方はかなり熱いが、下の方はまだ水のまま。そんな時「お風呂のお湯かき混ぜてきて」なんて手伝わされることがある。

これは、液体の温度による密度の違い(比重測定原理:温度が下がると比重は大きくなり、逆に温度が上がると小さくなる)で、熱くなってきたお湯は、冷たい水よりも密度が小さいということである。

このように温度変化による「空気」の密度も同様で、熱せられた空気は膨張して上昇し、それが風車となる羽根を押し回しているのである。

比重測定原理

このキャンドルホルダーが、"回り始め、回り続ける"には、科学の法則の入り組んだ働きと法則同士を結び合わせる効率の良さが存在している。

単なるモビールインテリアですが、こんなに楽しい反応が存在していたのは、この玩具の作り手のセンスの良さだろう。

 参考文献:世界でもっとも美しい10の科学実験 Robert P.Crease 著

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